レジオネラ属菌は身近な環境に棲息している土壌細菌ですが、温浴やプール、冷却塔などの施設から感染する場合があります。
施設を衛生的に運転するためにも、利用者の安全を守るためにも定期的な検査は必要です。
●レジオネラ属菌について
レジオネラ属菌とは?
グラム陰性細菌、自然界に幅広く存在しています。
人工の循環設備で増えている事例が多く、温浴施設での感染も起こります。
レジオネラ症について(どんな人が罹る可能性があるのか)
レジオネラ症には肺炎を主徴とする肺炎型と肺炎を起こさないポンティアック型(発熱、頭痛が主)があります。前者が最もよく見られますが、ヒトからヒトへは感染しません。肺炎型は臨床経過が早く有効な抗菌薬が投与されない場合には死亡率も高くなります。また、高齢の方や喫煙者、呼吸器系に基礎疾患免疫疾患のある方、糖尿病などの感染防御機構の低下した方はハイリスクグループです。
感染のメカニズム
24時間風呂などの循環設備ではヌメリ(バイオフィルム)が発生しやすく、レジオネラ属菌の温床になる場合があります。
レジオネラ属菌を含んだ霧状の細かい水しぶき(エアロゾル)の吸引あるいは温泉、湖、プールなどで溺れた人などが感染する事例が報告されています。
【今までに報告されている感染源】
24時間風呂設備 循環式浴槽 ジャグジーバス(ジェットバス) 超音波式家庭用加湿器
空調冷却塔(クーリングタワー) 打たせ湯 噴水 人工の滝
●浴槽水のレジオネラ属菌について
分析方法や基準値等
分析方法:レジオネラ症防止指針 第4版 参照
基準値:10cfu/100ml未満
検出された場合の対応
浴槽水での検出は利用される方への感染の恐れがあります。清掃・消毒等の施設の除菌対策が必要です。
保健所へのご相談をおすすめします。(各都道府県の条例により、報告することと書かれている場合もあります。)
日吉は分析機関なので行政に直接報告は致しません。あくまでお客様からの対応をお願いします。
清掃後等の除菌確認等の再検査も承っております。
●冷却塔のレジオネラ属菌について
分析方法や目標値等
分析方法:レジオネラ症防止指針 第4版 参照
目標値:100cfu/100ml未満 (超えた場合、清掃・消毒等による対策後の検査では10cfu/100ml未満)
検出された場合の対応
冷却塔は空気中にエアロゾルを飛散させるような構造になっておりますので、レジオネラ症防止の観点からも注意が必要な施設です。
清掃・消毒を行い、レジオネラ属菌が検出されない(10cfu/100ml未満)程度にきれいにしておきましょう。
●よくあるお問い合わせ Q&A
Q:レジオネラ属菌が浴槽水から検出されるとどうしてよくないのでしょうか?
A:浴槽水は人が直接浸かりますのでエアロゾルを暴露する可能性が高くなります。
つまり、いつ人に感染してもおかしくない状況となっているためよくありません。
Q:レジオネラ属菌が浴槽水から検出された場合はどうしたらいいのでしょうか?
A:保健所へのご相談をおすすめします。ただし、保健所に報告した場合、営業自粛等業務に差支えある場合があります。
弊社はあくまで分析機関なだけですので、弊社から行政へは連絡しません。
レジオネラ属菌の検出の旨を行政にお伝えされる場合はお客様自身で報告をお願い致します。
Q:浴槽水の再検査をしたい。
A:再検査についても承っております。
保健所等の指導に従って行ってください。
Q:浴槽や循環施設内の清掃も頼めるのでしょうか?
A:現状分析以外の業務は取り扱っておりません。
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(このコラムの監修者:分析検査部 堀江)