アスベストとは?

アスベストの種類と定義
アスベストは、石綿(いしわた・せきめん)とも呼ばれています。
厚生労働省はアスベストを「繊維状を呈しているアクチノライト、アモサイト、アンソフィライト、クリソタイル、クロシドライト、及びトレモライト」と定義しており(平成18 年8月11日 基発第0811002号)、石綿をその重量の0.1%を超えて含有する製剤その他のものを規制対象としています。

アスベストの特徴と用途
アスベストは安価であり、丈夫で変化しにくい特徴を持っています。
また、非常に細かい繊維であるため、他の物質とのよく混ざる親和性も持っています。
そのため、建材、工業製品など様々な用途で用いられてきました。

身近なアスベスト
アスベストが含まれたものは皆様の身の回りにも沢山存在しています。
例えば、家電製品の掃除機や洗濯機、学校の理科室の実験机、アルコールランプの芯などです。
また、ショッピングモールでも床材や天井材などにも用いられてきました。
現在、新しく製造されるものにはアスベストは含まれていません。
また、これらの建材は大きく破壊をしない限り、飛散のリスクは極めて低いものになります。

アスベストの危険性
アスベストは、非常に細い繊維から成り立っています。
これらの繊維は髪の毛よりもはるかに細く(直径0.02~0.35μm)、目に見えません。
このため空気中に浮遊しやすく、吸い込むと肺に入り込みます。一部は体外に排出されますが、アスベストの繊維は非常に丈夫で変化しにくく、肺の中に長期間残ります。この残ったアスベスト繊維が原因で、以下のような病気を引き起こすことがあります。

肺がん          アスベストを吸い込むことで、肺の細胞ががん化し、肺がんが発生することがあります。
アスベストが原因の肺がんは、他の種類の肺がんと比べて発症までに長い潜伏期間があるのが特徴です。                                             
悪性中皮腫肺を取り囲む膜(中皮膜)に発生するがんです。
アスベストの繊維が中皮膜に影響を与え、悪性中皮腫を引き起こすことがあります。
中皮腫は進行が早く、診断されたときには進行していることが多いです。
アスベスト肺(石綿肺)長期間アスベストを吸い込むことで、肺が線維化し、呼吸が困難になる状態です。
これは肺の組織が硬くなり、正常な呼吸が難しくなる病気です。

また、アスベストの種類によって発がん性が異なり、クロシドライトやアモサイトはクリソタイルよりも発がん性が高いとされています。

アスベスト事前調査の目的と重要性
アスベスト事前調査は、建物や設備の改修・解体作業においてアスベスト繊維による健康被害を防ぐために不可欠です。
この調査は、労働安全衛生法や大気汚染防止法に基づき、アスベスト含有の可能性がある部材を特定し、適切な安全対策を講じることで作業員や周辺住民の健康を守ることが求められています。
また、建築基準法では一定の条件を満たす場合、事前調査を義務付けており、これにより法令遵守を確保し、適切な工事計画を立てることができます。
事前調査を通じて、環境への影響を最小限に抑え、信頼性の高い企業としての評価を確保することが可能です。

アスベスト事前調査から分析・報告の流れ

書面調査       竣工図書、設計図面、調査資料などの書面から、アスベストの使用が疑われる箇所をピックアップします。                                
この段階では、建物の設計図や過去の記録に基づき、アスベストが使用されている可能性のある部分を特定します。
現地目視調査書面調査でまとめた情報を元に、現地で全ての建材を目視にて調査します。
このステップでは、実際の建材の状態を確認し、アスベスト含有の可能性がある部材をさらに絞り込みます。
建材分析アスベスト含有の有無を判断できない建材については『みなし判定』により、アスベスト含有建材として扱い、安全対策を講じて工事を進めるか、詳細な分析調査を行います。
専門の分析機関にて建材サンプルを検査し、アスベストの有無を確定します。
調査報告書の作成最後に、工事対象箇所でのアスベスト含有建材の有無について詳細な報告書を作成します。
報告書には、どの部位にどのようなアスベスト含有建材があったのか、またアスベスト含有建材でない場合にはその判断根拠と建材名をすべてまとめます。

このように、アスベストの事前調査は段階的に進行し、慎重にアスベストのリスクを評価することで、安全な工事の実施を確保します。

アスベスト分析の方法
アスベストの定性分析には主に二つの方法が用いられます。

「JIS A 1481-1」
「JIS A 1481-1」は偏光顕微鏡と実体顕微鏡を使用して分析を行う方法です。
ISO(国際標準化機構)に基づいた分析方法を元に日本工業規格化されたものであり、分析方法として国際的に評価されています。
この方法では、対象物の形態や光学的特性を詳細に観察し、アスベストが含まれているかを判断します。
対象物が複数の層で構成されている場合でも、各層を個別に分析することが可能です。

「JIS A 1481-2
「JIS A 1481-2」はX線回析装置と位相差・分散顕微鏡を用いて分析を行う方法です。日本における従来の分析方法です。
X線を照射することで得られる物質固有の回折パターンからアスベストの含有の有無を確認します。
さらに、位相差・分散顕微鏡を用いて物質の光学的性質、特に屈折率を調べることでアスベストの含有を判断します。
しかし、対象物を粉砕する必要があるため、層ごとの詳細な分析はできません。

含有量を測定する定量分析もありますが、定性分析によりアスベストが含まれていないことが確認できれば、定量分析は不要です。
また、定量分析はアスベストが含まれていることが確認された場合でも、義務化されているわけではありません。

調査の不徹底によるリスク
アスベストの調査を行わない、または不十分な調査を行った結果、アスベストが飛散し、周囲の人々に健康被害を与える可能性があります。
過去には、不適切な調査によってアスベストが工事中に飛び散り、工事関係者や周辺住民の健康に影響を及ぼした事例もあります。

  

弊社は、厚生労働省が認定する建築物石綿含有建材調査者が在籍する、石綿含有建材中の石綿含有率等分析機関です。
豊富な経験と知識を活かし、最新の分析機器を活用することで、高精度の分析結果をご提供します。

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